株式投資にあたっては、PERを指標の1つとして利用するケースが多くあります。しかしながら、成長著しい企業のPERは高く、割高と判断されがちです。
そこでPERと合わせて利用されるのが、PEGレシオです。PEGレシオを利用することで、PERで割高と判断された株式が本当に割高なのか、深堀することが可能です。
そこで今回は、PEGレシオとその使い方について紹介していきます。
PERについて
PERとは?
PER(Price Earnings Ratio)とは、株価が1株あたり純利益(EPS)の何倍まで買われているか、つまり、一株当たり純利益の何倍の値段がついているかを見る指標で、以下の式で計算できます。
PERは、現在の株価が企業の利益水準に対して割安か割高かを判断する指標とされており、その値のベンチマークは、業種によって異なるものの、一般的には15倍~20倍が平均値といわれています。
そのため、この水準よりPERが高ければ割高、低ければ割安ということになります。
成長性の高い会社のPER
株式を購入する際に、PERを購入の判断指標の1つとする場合には、PERが割安な株式を探すのが一般的です。
一方で、成長の期待値が高い会社はPERは高くなりがちで、15倍~20倍を大幅に超えていることが少なくありません。この場合、その株式はPER上割高と判断されてしまい、投資対象にはならないという話になってしまいます。
本当にPERだけで割高という判断をしてしまっていいのでしょうか。
その疑問に答えるべく、第2の指標として「PEGレシオ」という指標を利用していきます。
PEGレシオについて
PEGレシオとは?
PEGレシオ(Price Earnings Growth Ratio)とは、PERを利益成長率で割った指標で、以下の式で計算されます。
PEGレシオは、PERが高くなりがちな成長企業について、その企業が本当に割高なのかを判断するために利用されます。PEGレシオは、高ければ高いほど割高、低ければ低いほど割安となります。
つまり、PERが高い企業でも利益成長率が高ければPEGレシオが低くなり、割安と考えることができ、逆に、たとえPERが低い企業でも、利益成長率が低いとPEGレシオが高くなり、割高となります。
基本的には、PEGレシオが1倍以下になっていると割安、それ以上の場合には割高といわれます。
PEGレシオを分析に加えることで、株価が割安なのか割高なのかということを、より一歩踏み込んで求めることできるのです。
注意点
ただし、PEGレシオも完全な指標ではなく、いくつかのデメリットも存在しますので、注意点にも留意しながら、投資判断を行っていくことが重要です。
利益が成長している企業にのみ利用可能
PEGレシオは、計算式にある通り、利益が成長していくことを前提にした指標です。そのため、利益が成長せず減益となる企業には利用できません。
一時的な減益なのであれば、前後の決算を踏まえ成長性を分析していきましょう。
過去の成長率を継続できるかの確認
企業が将来成長予測を発表している場合には問題ありませんが、企業がそのような予測を発表しておらず、PEGレシオを計算する際に過去の利益成長率を利用する場合、実際には様々な外部・内部要因により利益成長率が低下してしまう可能性があります。
そのため、過去の利益成長率を利用する場合には特に、その企業が本当に過去の成長率を維持して、引き続き拡大することができるのかということを精査することが必須です。
まとめ
今回は、PERが高くなりがちな成長企業の株価が割高なのか割安なのかを別の視点より判断するため、PEGレシオについて紹介しました。ただし、PEGレシオも必ずしも万全な指標ではないので、注意点を理解しながら、有効活用していきましょう。
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