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誰しもが会社を廃業にはしたくないと思います。しかし、会社の廃業を選択しなければならない場面があります。会社を廃業にして消滅させる場合には、清算や破産などといった手続きがあります。今回は、その中でも清算という手段について解説していきます。また、清算には「通常清算」と「特別清算」という二つの手続きがありますので、その違いについても紹介していきます。
そもそも清算って何?
何らかの理由で会社の事業の継続が困難になり、会社をたたむことになった場合、会社の廃業や解散をしなければなりません。しかし、単に廃業や解散をしただけでは会社は消滅せず、会社に資産や負債が残ったままになってしまいます。そのため、清算という手続きをとり、会社資産の売却や債権回収を行い、その資金で債務の弁済を行う必要があります。
そのため、清算とは、会社の財産を回収・分配し、法律的及び経済的な関係をすべて整理する手続きといえます。清算に関する全ての業務が完了すると、会社は法人格を失い、消滅することとなります。
通常清算と特別清算って?
会社の清算手続きには、「通常清算」と「特別清算」という2種類の手続きがあります。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう!
通常清算とは?
通常清算とは、解散した会社が、残った債務をすべて支払うことができる場合にとられる清算手法です。通常清算を行う場合には、会社自らが売掛金や在庫などすべての財産を回収し、債務の弁済を行います。全ての債務弁済後、残存資産がある場合には、株主へ配当を行い、清算手続が完了します。
通常清算は、全ての債務を弁済することを前提としていることから、いわゆる倒産手続きではないので、裁判所が介入することはありません。
通常清算のプロセス
通常清算を行う場合には、以下のプロセスで進めていきます。
STEP 1 |
解散・清算人の選任(株主総会決議等) |
STEP 4 |
解散時の財産目録等の作成・承認(株主総会) |
特別清算とは?
特別清算とは、会社が残っている資産をすべて債務の弁済にあてても債務を完済できない、いわゆる、債務超過の場合にとられる清算手法です。
つまり、会社清算をする場合において、通常清算できない場合には、特別清算という方法を選択することになります。
特別清算の場合には、会社が債務超過であるが故に、全ての債務を弁済することができません。そのため、事前に債権者との間で債権放棄を行うことの同意を得ることが多いです。これを和解型と呼び、各債権者との間で個別に和解契約を締結します。一方で、債権者との間で債権放棄の同意が得られない場合も当然あります。その場合、債権者集会を開催し、協定案を提案し決議を得る必要があります。これを協定型と呼びます。協定案は、決議参加債権者の過半数、かつ、総議決権額の3分の2以上の賛成があれば可決されます。
しかし、公租公課や労働債権など優先的債権についてすら弁済する能力がない場合には、特別清算は適用できません。そのような場合には、「破産」手続きへと移行する必要があります。
なお、特別清算を行う場合には、裁判所は特別清算の申立てをし、裁判所の監督下で会社の清算を行うこととなります。
特別清算のプロセス
通常清算を行う場合には、以下のプロセスで進めていきます。
STEP 1 |
解散・清算人の選任(株主総会決議等) |
STEP 4 |
解散時の財産目録等の作成・承認(株主総会) |
STEP 8 |
和解許可又は債権者集会における協定案可決 |
STEP 9 |
和解又は協定に基づく弁済及び債権放棄 |
まとめ
清算には、通常清算と特別清算という2種類の手続きが存在し、会社に債務の全てを弁済する能力があれば通常清算を選択できます。一方で、債務超過のように会社に債務の全てを弁済する能力がない場合には、特別清算へと移行することになります。通常清算の場合、裁判所の介入もなく比較的スムーズな清算が可能になることが想定されますが、会社の体力を見ながら最善の方法を模索したいところです。
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