今回は、上場間近の巨大ユニコーン企業として知られる「インスタカート」の魅力やビジネス上の懸念点等について紹介していきます。
インスタカートについて
まずはインスタカートについて簡単に紹介していきます。
そもそもインスタカートって?
インスタカートとは、食料品の即日配達サービスを運営する米国の企業で、ユーザーはアプリを通じて様々な小売業者が販売する食料品を購入することができ、個人ショッパーが購入品を届けるというサービスを展開しています。
インスタカートの魅力
インスタカートの魅力は、なんといっても配達までのスピード感です。
通常、配送を依頼すると、1~2日は時間がかかってしまうところですが、インスタカードで購入すると、1時間を目安に商品を受け取ることができます。これにより、食料品の鮮度も保たれ、ユーザーの急なニーズも満たすことができるという仕組みになっています。
HPにおいても「Groceries delivered in as little as 1 hour (1時間以内の配達)」をうたい文句として載せています。
これを可能にしているのは、各地に存在するショッパーの存在です。ユーザーから注文が入ると、近くで待機しているショッパーは、指定されたスーパーへ買い出しへ行き、すぐさまユーザーへ購入品を届けます。
これにより、インスタカートは圧倒的な速さでユーザーに商品を届けることができるのです。
事業拡大の追い風いがつづく
インスタカートは2012年の設立以降、規模を拡大してきましたが、2020年の新型コロナウィルス感染拡大が、さらなる追い風となっています。
コロナ感染拡大をうけ、できる限り外での買い物を控えたいというユーザーのニーズとマッチし、需要が激増。その結果、2020年6月には約235億円を資金調達、10月にも約200億の資金調達を発表するなど大型の資金調達を連発しています。
さらには需要急増に伴い、ショッパーを新規で数十万人採用するなど、失業者の受け皿としても期待される企業となりました。
インスタカートの懸念
しかし、インスタカートとしては、いいニュースばかりではなく、懸念点がある点にいても紹介しておきましょう。
ネットスーパーの存在
インスタカートがここまで爆発的に需要が集中したのは、食料品のEC化率が低かったことが大きな理由の1つといえるでしょう。
日本の場合を例にとってもても、食品や飲料のEC化率は2.89%にとどまっており、かなり低い水準であることが数字からも見て取れます。
一方で、コロナ需要を取り込みべく、本格的にネットスーパーに力を入れ始める小売店も数を増やしており、その流れは加速しつつあります。
このネットスーパーの躍進は、確実にインスタカートにとっては脅威になるかもしれません。
ギグワーカー
次に懸念されるのが、ギグワーカーの存在です。
ギグワーカーを利用しているのは、インスタカートだけでなく、ウーバーやリフトといった企業もそうであり、同様の懸念を持っていますが、ギグワーカーについては、正規の従業員として雇用すべきと、その位置づけが問題視されています。
ギグワーカーを正規の従業員として雇用することが義務化されると、インスタカートとしては、人件費の増加が想定され、経営状況を圧迫することは間違いありません。
ウーバーなどは、ギグワーカーを保護する州法を論拠に運転手を従業員として雇用するよう訴訟を起こされ敗訴している例などもあり、今後の動向にも注目が集まっています。
ギグワーカーとは、インターネット上のプラットフォームサービスを介して、単発の仕事を請け負う労働者を指します。
インスタカートの今後
とはいうものの、インスタカートは既に巨大ユニコーン企業の仲間入りを果たしており、2020年に上場し話題となった、民泊大手のエアビーアンドビーとも企業価値で引けを取らないといわれています。
またインスタカートは、食料品のデリバリーだけでなく、外部の食品ブランドが広告枠を購入できるマーケットプレイスや外部企業が独自のデリバリーストアを構築できるプラットフォームも運営しており、新規で調達した資金の一部は、これらのインフラ整備にあてられるようです。
さらには、IPOの準備も進められており、ますますの拡大が期待されています。そんなインスタカートに引き続き目が離せません!
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