毎年12月が近づいてくると考えなければならないのが、副業から発生した利益に関する税金申告です。でも、どのような場合に税金の申告をしなくてはいけなくて、どのような場合にしなくていいのかって意外と曖昧だったりしますよね。
そこで今回は、FX取引から利益が発生した場合の税金申告の必要性などについて紹介していきます。
FX取引以外から利益が発生した場合の税金申告の必要性については、こちら☟
FXとは
FX (Foreign Exchange)とは、外国為替証拠金取引のことを指し、FXを取り扱う会社に一定のお金(証拠金)を預け、証拠金の一定倍の外国為替取引をすることをいいます。通貨のレートは常に変動していますので、変動の差額で利益を獲得します。
FX取引は株式取引(株式取引は9時半~11時半及び12時半~15時)と違って、24時間好きな時間に取引を行うことができたり、少額資金でも大きな利益を上がることがあるので、サラリーマンや主婦の方などの副業としてもとても人気です。
では、FXで利益を上げた場合には、税金の申告は必要になってくるのでしょうか?
FXで税金申告は必要?
結論からいうと、FX取引は、株取引であるような特別口座制度が存在しませんので、FX取引で利益を獲得とした場合には、原則として確定申告が必要になります。
株取引の特別口座制度については、こちら☟
確定申告とは?
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得にかかる税金額を計算し、申告期限までに税務署に確定申告書や必要書類を提出して、申告・納税する手続きのことです。
確定申告の受付期間は、毎年2月16日〜3月15日まで(暦によって若干変動あり)で、この期間に申告が間に合わなかった場合、本来納付すべき税額に加え、無申告加算税など追加で税金が発生してくる可能性があります。
そのため、確定申告は無駄な支出を抑えるためにも重要です。
FX取引で発生した経費
ちなみに確定申告にあたっては、FX取引を行うためにかかった経費は利益から差し引くことができます。利益から差し引ける経費には、FXを行うためにかかったプロバイダ料金、電話代、書籍代に加えて、セミナーなどに参加した場合には、その費用も経費として計上することができます。
税率は?
FX取引に対する課税方式は統一されており、税率は20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)となっています。
これは、株式取引から発生した利益に対する税率と同じです。
FXで税金申告が不要な場合は?
基本的に、FXから利益が発生した場合には確定申告が必要ですが、例外的に、確定申告が必要ない場合もあります。
それは、FX取引などから発生した年間の所得が、20万円以下の場合です。
ただし、ここでいう年間の所得とは、もしFX取引以外にも所得がある場合には、それらを合算したものをいいますので注意が必要です(給与所得や退職所得は除きます)。
また、専業主婦(夫)としてFX取引を行っているような場合は、税金計算上、38万円の基礎控除というものが存在しますので、所得がそれ以下であるならば確定申告の必要はありません。
一方で、FX取引で年間を通じて損失を出してしまった場合でも、確定申告をした方がおトクというような場合もあります。それは、どのような場合でしょうか?
損失が出ていても確定申告すべき?
FX取引で年間を通じて損失を出してしまっているような場合には基本的には確定申告の必要はありません。
ただし、そのような場合でも確定申告をした方が有利になる場合もあります。
損益通算ができる
まず、損失がでている場合に確定申告を行うと「損益通算」することができます。
損益通算とは、一定期間内に得られた利益から損失を差し引くことで、納めるべき税金の金額を抑えることができる手続きです。
例えば、株式取引など他の金融取引で発生した利益とFX取引から発生した損失を相殺することで、税金発生額を抑えることができます。
ただし、FXから発生する所得は、税金計算上「申告分離課税」という区分に該当することから、相殺が可能なのは、同じく「申告分離課税」に該当する取引のみで、「事業所得」や「給与所得」といった他の取引区分とは相殺できない点も留意しておきましょう。
繰越控除ができる
損益通算を行っても損失が発生する場合には、さらに「繰越控除」ができます。
繰越控除とは、その年の損失を控除してきれない場合、翌年以降に利益が発生した場合、その利益から損失を控除して税金の申告額を減らすことができる制度です。最大で翌年以降3年間繰越控除ができますので、節税にはおすすめの制度です。
ただし、繰越控除の適用を受ける場合には、損失が発生した年に確定申告を行う必要がありますので、こちらも留意しておきましょう。
まとめ
FX取引には、株式取引のような特別口座を利用すれば確定申告の必要がなくなるといった制度はありませんので、基本的には毎年確定申告を行う必要があります。
一方で、給与所得や退職所得以外の年間の所得が20万円以下の場合には、確定申告は不要となります。ただし、年間の所得が損失となっているような場合で、損益通算や繰越控除を行いたい場合には、確定申告をするようにしましょう。
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