パラレルワーカーとして会社経営と航空エンジニアの2足のワラジで新しい世界を目指すキャリア

インタビュー

働き方改革という考えが重要視される中、副業やパラレルワークといった働き方が広まりつつあります。Freedox magazineでは、副業、パラレルワーク、フリーランスなどをキーワードに皆様が少しでも豊かな生活ができるよう役立つ情報の発信をしております。

そんな、副業やパラレルワークを実現させた人々へインタビューさせて頂く第1弾!

今回は、Freedox magazineの記者である青木が、会社の代表と航空エンジニアとしての顔を持つ宗像 亮さんにお話しを伺います。

青木)こんにちは!

宗像)こんにちは。

青木)早速ですが、簡単に今までの経歴や職歴を伺えますか?

宗像)子供の頃から飛行機の乗る機会も多く、また技術職に憧れもありましたので、高校生の頃に航空整備士を目指しました。

航空会社に整備士として入社後、大型機の整備に必要な国家資格を取得し、その後、日常運航を支える整備現場の責任者の役割を担いました。

主に、次のフライトに向け限られた時間の中で行う整備作業を担当しておりましたので、常にタイムプレッシャーのある中での業務であり、緊張感がありました。

その後、東南アジアを拠点とした航空会社が、日本で新しい航空会社を設立するとのことで、立ち上げメンバーとして参画することになり、転職しました。

当時、まだ整備部門も数人しか在籍しておらず、部品も飛行機も何も無いところからスタートしました。

航空会社は国の認可を受けて初めて事業を開始できます。お客様に安全な航空機を提供することが出来る「整備体制」を構築できているかが審査され、その基準に適合させるよう、整備体制を構築します。

まずは、航空機の導入スキームの構築をはじめ、航空機が安全に飛行するための整備プログラムの構築などが必要でしたので、現場の航空整備士としてではなく、この役目を担う、管理部門(技術系)のスタッフへとキャリア変更をしました。

日本に数えるほどしかない航空会社の設立時に参画できたことは貴重な経験だったと思います。

その後は、同部門の責任者として、チームをリードしながら、航空機メーカーと協力しながら機材品質向上に向けた活動や親会社と運航・整備コストの削減のための取り組みなどを行いました。

ですが、今般の新型コロナウイルスの影響による、航空需要の減退に伴い事業廃止に至りました。このため、一度認可を受けた航空会社の免許を国に返納する業務や、リースにて保有している航空機を返却する業務など、事業廃止に伴う一連の業務を経験することになりました。

現在は、リージョナルエアラインの立ち上げフェーズに航空整備エンジニアリング部門の責任者として参画しながら、並行して自分の会社も立ち上げ活動をしています。

青木) 宗像さんはご自身で会社を立ち上げられたということですが、どのような会社なのでしょうか。

宗像)主に、航空産業など専門性の高いスキルを持った人材に向け、自由で楽しい新しい生き方の選択肢を提供する会社です。

例えば、雇用を前提とした働き方だけではなく、副業や独立という形で一人のプロフェッショナル人材として価値を提供していける機会を提供したり、このような自立した生き方を後押しできるような情報発信をしております。

青木)会社を立ち上げようと思われたのはなぜなのでしょうか?

宗像)元々、新型コロナウイルスの感染拡大前は、世界的な航空需要の増大に伴い、国際的に多くの航空人材が必要とされると予測されていました。

日本においても航空業界全体で人手不足が深刻化しており、人材不足が日本の航空産業の更なる成長を妨げている要因の一つと考えていました。特に整備士不足の背景として、航空会社における既存の整備体制に課題があると着目しました。

航空機整備業務は、各航空会社の整備部門により整備体制が構築され、その企業に所属する航空整備士により整備作業が実施されています。この自社整備士は、基本的に自社が保有する航空機に対して整備作業を実施しており、各航空会社間の自社整備士の流動性はなく、自社で人材を囲っている状況です。

整備作業は年間を通して業務量が変動しますが、発生する全ての整備作業に対して自社で実施することを前提としているため、業務量が多い時期にも対応できるように年間最低必要人数を決定しています。このため、業務量が少ない日は、一定の余剰人員を抱えていることになります。

この点に対して、会社組織に属さないフリーランス整備士が活躍できる制度を構築し、フリーランス整備士が企業からの需要に応じて業務を実施することが出来れば、人手不足に対応できるのではと考え、事業を始められないかと検討していました。

ですが、今般の新型コロナウイルスの影響による、航空需要の低下に伴い、航空会社の事業廃止や人員整理等により、状況が一変しました。

当初思い描いていた、航空産業の発展のための航空整備士のフリーランス化は、今は時期ではないと思いましたが、航空整備士のみならず、航空人材のフリーランス化推進は、コロナ禍だからこそ必要なのではないかと考えました。

現在、コロナ禍で休業を余儀なくされる人材にとっては、「時間を有効活用し副業で生活レベルを維持したい。」、「雇用を前提とした考えではなく、いつ何が起きても自分の力で生きていけるスキルを付けたい。」といったニーズが高まってくると考えました。

特に、航空輸送は一度事故が発生すれば多くの人命が奪われる可能性が高いため、他産業に比べ高いリスクを想定して業務を行っています。

この様な高いリスクを想定した幅広い知見、多角的な視点を持った航空人材が、他業界に向けてスキルを転用出来れば、非常に価値のあることだと考えました。

企業の視点でいうと、不確実な時代の中で、人的・設備投資を行い業務の全てを内製化するリスクは高いため、アウトソースすることで経営資源を本業に集中させたり、固定費を変動化することが出来たりと、業務委託の形態で業務を進めていくニーズが高まっていくと考えています。

人材・企業双方のニーズをマッチさせ業務委託ベースでプロジェクトが進んでいくようなイメージです。

もう一つは、働く上での意識の変化を促せればよいなと考えています。

現在、企業に雇用されることを前提とした働き方が主流だと思います。どうしても、自分の所属する組織の利益を第一に考えるマインドに縛られる傾向があると思います。

私自身もそのような経験はあり、例えば会社で問題が起きたとき、自分の組織・上司ならこの様な判断をするだろうな。と想像しながら仕事をすることは多いのではないかと思います。

ある意味正しいことですが、その判断は組織・上司のためではなく、その先にある企業としての本来の目的を達成するための判断だという捉え方が重要だと思います。

一方、副業により自分の力で顧客に価値を提供していく働き方を選んだ場合、自身の能力だけで顧客の利益・目的に対しコミットすることになります。

自身が受ける顧客からの評価も明確で、顧客が満足しなければ次の仕事の契約は無いでしょう。

また、自身の能力を複数の会社に提供することにより、異なった視点から物事を見ることで、比較考慮が出来るようになり今まで見えなかった全体像が見え、独自の価値が提供できる人材にもなっていけると思います。

副業で価値を提供していくことで、自身が所属する企業でも、組織や上司にコミットするのではなく、その一段上の大きな目的や使命にコミットする働き方に変化していくと思います。

このように、自分が所属する会社が未来永劫に続いていき、会社とともに自身が成長していける舞台なら所属する組織に対するコミットメントの対価として、終身雇用や将来の安定が得られるかもしれませんが、変化の大きな時代で、いつ所属する会社が無くなるかもしれない。という危機感の重要性は、私も所属していた会社の倒産を経験してより一層強く思いました。

ユニークなスキル・経験を持った人材に向け、様々な働き方の選択肢を提供し、この活動を通して、人材の意識改革や自身が成長していくことで、自分自身が自由に楽しく生きて行ける、そのような世界が作れればよいなと思っています。

青木)航空整備エンジニア部門の責任者として企業に属しながら、ご自身でも会社を営まれていますが、大変なことなどはありますか?

宗像)時間の使い方をこれまで以上に整理して考える必要がある感じました。航空整備のエンジニア職と自身の会社活動、両方にコミットし双方に対して今出来る最大のアウトプットを出すことが前提です。

しかし、使える時間は限られていおり、本業は常日勤、自身の会社活動は、本業の就業時間後、もしくは休日での活動となります。

これは、本業でも自分の会社の業務でも両方に言えることですが、例えば、与えられた業務をただこなすような流す仕事をしているときは、単に時間を消費していることになると思います。この様な取り組み方は辞めようと心がけてます。

一方、休みの日に一人で何もせずボーっとすることは時間の消費なのではとも思いますが、明日への活力に繋げるために自分に必要なことだと思っているので、私の場合は時間消費ではなく、明日への投資だと思っています(笑)このように、日々の時間の使い方として、単なる時間の消費を避けることに気を付けています。

青木)大変なことがある一方で、会社を立ち上げてよかったなと思うようなことはありますか?

宗像)本業での肩書では繋がれない人と繋がれる点が大きいと思います。また、個人の活動ではなく法人にすることにより、話を聞いていただける企業が増えたと感じています。

まだ、スタートして間もない会社で実績と信用をこれから作っていくフェーズのため、知人やサポートして頂ける人のつながりで仕事を獲得していくことが殆どです。

この様な方たちのおかげで新しい案件や人脈を作ることが出来ていますので、とても感謝しています。

あとは、お金のありがたみも痛感してます(笑)

売上を立てるためにかかる時間や費用、会社を維持するために発生する費用等、様々な費用が発生しますが、その費用を上回るだけ売上を立てないと、そもそも会社が存続できないという当たり前のことなのですが、身に染みて分かりました。

この感覚は、特にコストセンターと言われる航空整備部門の一員として働いている人は必要な感覚だと思います。

ただでさえ、普段から高額な部品を取り扱っているため、例えば軍手やウエス等購入単価が安いモノの取扱いには意識が薄くなる傾向があったと思います。

例え単価の安いモノでも、その額と同じ額を売り上げるためには販管費などのコストもかかっているという感覚は、特に組織人は、分かっていない感覚だと思います。

整備現場のコスト意識の徹底がなされている企業は強いと思いますし、重要な感覚だと思ました。

この点からも、自分の会社は自己資金で運営していますので真剣にならざるを得ませんね!

青木)会社経営と航空整備エンジニア部門の責任者として働かれていますが、一日のスケジュールはどのような感じなのでしょうか?

宗像)本業は平日月曜から金曜日の日勤です。現在、リージョナルエアラインのスタートアップフェーズに携わっているので、稼働率も高く忙しいですね。

自分の会社は、平日の夜間と休日の両方で活動しています。

共同代表と運営しておりますので、事業運営のために必要なタスクは2人で合意し、タスクに対してKPIとターゲット値を設けて実施しています。

青木)今後の目標や目指す方向などお聞かせ頂けますか?

宗像)会社のコンセプトは、「人々のより自由な生き方を創造し世界をさらに幸せに」と掲げています。まずは航空産業の人材にフォーカスして一定の実績を作りたいと思っています。

ただし、航空産業だけではなく、その周辺産業や全く異なる産業の人材などにもフォーカスを当て、異質なもの同士が交わることによる新しい価値の創造が出来れば、人々もそして企業も幸せになるのではないかと考えています。

青木)本日は、ありがとうございました!また是非、お話伺わせてください。

宗像)ありがとうございました。

宗像 亮 1986年生まれ BBT大学グローバル経営学科卒業。

略歴:国内航空会社に入社し一等航空整備士を取得。その後確認主任者の業務に従事。2014年に転職し、外資系国内航空会社の立ち上げに参画。会社設立時の整備部門の体制構築からその後の運航までを経験。2020年、整備技術部門の組織管理職としてチームを統括。2021年に株式会社Freedoxを共同創業。

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