近年、「SaaS(Software as a Service)」という言葉が一般的に使われるようになり、そのビジネスモデルから、株式投資の対象として注目されるケースが増えています。
一方で、2019年にマザーズ上場した Freeeは、海外投資家比率が70%を超えるグローバルIPOを実施しており、その理由として、日本にはSaaSビジネスを正確に評価できる体制が整っていないためとも言及しています。
そこで今回は、米国と日本のSaaSを取り巻く環境について紹介していきます。
日本と米国のSaaS
上場企業の数
まず、日本と米国におけるSaaS企業の数を比較していきましょう。
日本は、2021年4月時点でSaaS企業で上場している会社は22社となっています。
一方で、米国では61社存在しています。
上場会社の社数は、米国では日本の2.8倍存在するということになります。
この数をみると、確かにSaaSビジネスは米国の方が進んでいるように見えます。
では、時価総額はどうでしょう。
時価総額
2021年4月時点で、日本のSaaS企業の時価総額を合計すると約2.5兆円になります。
この中には、クラウド会計ソフト Freeeを提供する「Freee」や名刺管理アプリであるEightを提供する「SanSan」、経理・総務関連業務のクラウドサービスを手掛ける「ラクス」なども含まれています。
2.5兆円がどのくらいかといえば、小売りで有名な「イオン」の時価総額は約2.5兆円くらいです。
一方で、米国SaaSの時価総額は、なんと194.6兆円です。
この中で最も時価総額が大きいのは、電子決済サービスを提供する「Paypal」で、その時価総額は約28兆円です。この数字は、日本で最高時価総額を誇るトヨタ自動車に迫る勢いです。
次いで、Acrobatで有名な「Adobe」、顧客管理サービスを提供する「Salesforce」が21兆円、19兆と続きます。
米国のSaaS企業は1社1社がバケモノ級の時価総額を誇っています。
日本のSaaS企業でトップの時価総額を誇るFreeeの時価総額は約5,200億円で、1兆円を超えるSaaS企業はまだ存在しません。一方で、米国では既に30社を超えるSaaS企業が時価総額1兆円を超えています。
この差は、米国は日本よりもスタートアップエコシステム成熟度に関係していると言えるかもしれまんが、上場企業の数は2.8倍の違いしかないものの、時価総額では約80倍もの差がついてしまっている状況にあります。
時価総額において、80倍もの差がついてします期待値はどこから来ているのでしょうか。
売上成長率
SaaS企業では、トップラインの成長率が重要であると考えられているため、売上成長率について考えていきます。
もちろん、売上成長率が毎年100%を超えて爆発的に成長している企業も存在しますが、平均すると日本も米国も25%~30%の間で推移しており、成長率ではそこまでの差はないように見えます。
規模
ただし、売上を見ていく上では、成長率だけでなく、規模についても考えていく必要があります。
先ほどから何度か話の出ているFreeeの年間売上は、20年6月期で約70億円です。
また、日本のSaaS企業で最も売上を上げているのはサイボウズですが、その金額は20年12月期で約160億円です。
一方でアメリカは、Paypalが2.4兆円、Adobeが1.4兆円、Salesforceが1.6兆円と規模がやはり二桁違う状況にあります。
年間2兆の売上というと、日本では、リクルートホールディングスやシャープなどの企業と匹敵する大きさとなります。
成長率は同じでも、この規模の売上を毎年30%上昇させていくわけですから、やはり驚異的な伸び率といえます。
まとめ
今回は、日本及び米国SaaSの表面的な数値を紹介してきました。
これらの数値だけを見ても分かることは、圧倒的な規模の違いです。
やはり、規模が違いすぎますね。。ただ、逆を返せば、米国企業のサイズまで成長できる市場は存在するということですので、引き続き期待したいところです。
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