今回は、米国の大手電気通信会社であるAT&Tについて、当該会社の業績や銘柄として注目される理由などについて紹介していきます。
AT&Tについて
AT&Tはどんな会社なのでしょうか
AT&Tは、米国の電気通信最大手の会社で、固定通信事業及びスマホなどの情報通信事業を行っている巨大企業です。もともとは、19世紀の大発明家であるアレクサンダー・グラハム・ベルが設立した電話会社が前身となっている歴史のある会社です。
最近の動向
最近では通信事業だけでなく、メディアコンテンツ事業にも力を入れており、2014年には、中南米地域を中心にサービスを展開しているディレクトTV、2018年には、アメリカ屈指のエンターテイメント企業ワーナーブラザーズの親会社であるワーナーメディアを買収しています。
ちなみに、ワーナーメディアは、ニュースメディア「CNN」、有料ケーブルテレビ放送局の「HBO」などのコンテンツも持っており、通信事業をベースとしつつも、それらのリソースを生かしたデジタルコンテンツ事業にも力を入れはじめているということが伺えます。
競合
米国の通信事業は、米国Yahoo!を買収したベライゾン・コミュニケーションズと、かつてソフトバンクの子会社であったスプリントを吸収合併したティーモバイルの3強状態となっています。
いずれの会社も成熟した通信事業だけでは、成長が限られてしまうことを想定し、メディア事業等にも乗り出し多角化を進めているといえます。
AT&Tの業績
経営状況
AT&Tは、爆発的な事業拡大はないものの比較的安定した業績を続けています。同社の事業基盤である通信事業については、今後5Gの普及が広がっていくことからAT&Tの業績への貢献に注目が集まります。
一方で、2018年にワーナーメディアの買収によって参入したメディア事業は、AmazonやApple、Netflixなどの強敵が存在し、同社買収のために、有利子負債が20兆円近く発生していることから不安視している見方もあります。また、2020年のコロナウィルス感染拡大に伴う映画館からの客離れなどによりワーナー事業より損失が発生しており、2021年でどのように挽回していくのかが注目されます。
(出典:Strainer)
株価
AT&Tの株価は、過去数十年に渡りほとんど上昇していないことがわかります。アメリカの代表的な株価指数の1つであるS&P500と比較すると一目瞭然で、株価の上昇はあまり期待できないかもしれません。
青:AT&T 赤:S&P500
ではなぜ、AT&Tの株式には注目が集まっているのでしょうか。
AT&Tの配当
AT&Tの株式に常に注目があつまっているのは、既に周知の事実なっているかもしれませんが、配当の連続増配を続けているためです。
配当利回りも5%~8%程度で推移しており、一般的な増配率約2%と比較するとかなり高いことが分かります。
しかしながら、AT&Tは、2021年1Qの配当を一株あたり0.52ドルと発表しました。この金額は、2020年1Qの配当額と同様の金額ということで、連続増配がとうとうストップしたのではないかと衝撃が走っています。
年間ベースで考えるとここから増配の可能性もありますが、コロナウィルス及びワーナー買収による負債を圧縮すべく動き出したのかもしれません。
まとめ
AT&Tは、米国の大手電気通信会社として事業拡大を続けており、近年ではワーナー・メディアを買収することで、メディア事業にも本格参入してきました。
同社が投資銘柄として注目を集めているのは、長期連続増配を続けているためです。
そのため、株式を長期的に保有し、インカムゲインを獲得していく投資であれば注目すべき銘柄といっていいでしょう。
一方で、2021年1Qの配当額は、2020年1Qの配当額と同額であり、連続増配がストップしてしまったかのようにも見えますので、同社の動向に注目です。
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